悲しい光景。
朝、混雑した駅前での出来事。
幼稚園生くらいの男の子が、お母さんの後をついて歩いていた。
お母さんの歩くスピードは大人が普通に歩くスピードで、男の子は一生懸命ついていっていた。
結構な人ごみだったため、男の子ははぐれないように、と思ったんだと思う。
男の子はお母さんに手をつないでもらおうと、お母さんの手に自分の手を伸ばした。
きっと、それは自然な行為。
だけど、お母さんの歩くスピードは速くて、男の子はうまくお母さんの手を掴まえられない様子。
やっと掴まえた、と思ったら…。
そこで信じられないことが!!
あたしには、お母さんが、男の子の手を振り払ったように見えた。
男の子は、また自分が掴まえ損ねたと思ったのか、もう一回手を伸ばした。
今度はハッキリと、お母さんは男の子の手を振り払っていた。
びっくり。
その後も、お母さんはスピードを緩めることなくサッサと歩いていき、男の子は、また一生懸命ついていっていた。
二度と、お母さんの手に自分の手を伸ばそうとせず…。
大人になったって、好きな人から手を振り払われたりしたら悲しいことなのに、あろうことか、自分の子供の手を振り払うとは…。
それから、あたしは電車に乗り、あの子は悲しかっただろうなぁ…としんみりした気持ちのまま電車を降りた。
駅から出た、そんなあたしを待っていたものは、ローン会社のティッシュ配り。
わざわざ、歩いているあたしに向かってやってきて、ものすごい勢いで渡された。
別に、浸っていたわけではないけれど、
しんみりとした気持ち、台無し。
お金に困ってしんみりした顔に見えました…?